愛の、から騒ぎ Aino.Tk |
切なく、お道化て
僕は、裸電球に鱗粉をまき散らす蛾を、睨み続けていた。彼女は、レットイットビーをくちずさんでいる。無邪気に微笑みながら。世界は、僕たちしか存在しないのに、彼女との距離をつかみ損ねて、呼吸が苦しくなった。
気のきいた言葉の一つも投げかけられれば、そう思っているんだ。愛は、演じることとによって、弾みがつくなんて思ったりもする。「君の瞳に乾杯」そう、さり気なく。バカバカしいほどオドケテ、オシャレで、気取ってキザに、君の心を奪いたい。あの頃のように。
夢を実現できるようにと願いました。この仕ンサーは大切な存在です。そしてなにより大切なのは若い生徒たちです。13年前、今は亡き父とわたしは教育を通して若い世代が彼らの夢を実現できるようにと願いました。この仕
5月だったか6月だったかはっきりしない。彼女は、ハサミを持って僕をつけ回していた。
構内に入ると半円の石段があって、学生たちは、弁当を広げたり、ギターを掻き鳴らしたりしている。この時期は、何だか不安というものがどこか他人事のように、僕から遠巻きになって、ちょっと生を謳歌しているな、なんて思う。いつものように百円玉3枚をじゃらじゃらさせ、石段をスキップし学食に向かう、その時。おい!ノッコだった。切らせろ。ちょっと待てよ。僕は、何だか芝居じみた彼女にタジロイだ。皆の好奇の視線に耐えながら、メシの後にしようよ、そう告げて、逃げ出す。彼女が追ってくる。その後どうなったのか、覚えていない、ただ、空があまりに青く、こんな日は一生ないような、そういう感じだけが、記憶に残っている。彼女と僕の接近は、結構トワイライトゾーンで、馬鹿なって云われてしまうと思う。